投資信託を解約した場合の課税売上割合の計算
今回は消費税の課税売上割合の話を。
有価証券等を売却した際にその売却額の5%が非課税売上高に算入されるのは特に税理士試験消費税法を受けたことのある人にとってはよく知っているところかと思いますが、先日、実務において投資信託を「売却」ではなく「解約」した例が出てきました。
解約の場合は元本の払い戻し、つまりは預けたものが返ってきたにすぎないため、非課税売上ではなく不課税取引として扱います。
ただし、投資信託というのは一般的に証券会社等が信託財産を運用して分配された利益を再投資していくものであり、株数等は増加していきます。そのため投資信託を解約した際には元本よりも多い金額が返ってくるのが一般的であり、その増加分は非課税売上高となります。しかも売却による利益ではなく収益分配によるものなので原則どおり100%を算入することになります。
なお、ここでは入金額と元本の差額を非課税売上高に算入すると記述しましたが、厳密には証券会社からの明細を基に毎課税期間投資信託の評価替えを行い、
有価証券/受取利息
といった仕訳を切ることになるので、毎課税期間投資信託の帳簿価額が増え、その分非課税売上高に算入されることになります。すなわち、売却した際に一気に算入されるわけではなく毎期少しずつ算入されていくということです。
適正な消費税の申告を行うためには、有価証券に計上されているものが投資信託なのか通常の株式等なのかを把握しておき、投資信託の場合は受取利息で、株式の場合には評価損益で評価替えを行うことが重要と言えます。
ちなみに。有価証券を手放し入金を受けるのが「解約」であるか「売却」であるかは証券会社からの資料に明記されているかと思いますが、資料が無い場合や書いていない場合の判断方法として、解約の場合は元本との差額から通常15.315%の源泉所得税が控除され、売却の場合は(手数料が控除されることはありますが)約定金額がそのまま入金されるという違いがあります。先述のとおり、解約した際の差額は受取利息の性質を持つためです。預金利息と同じように考えれば良いわけです。
ついでに書いておくと、この場合の手数料は非課税売上に対応する課税仕入れ等に区分されます。ただし、国外株式の場合は課税売上対応となります。これは課税資産の譲渡等が「資産の譲渡等のうち、第六条一項(国内取引の非課税)の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のもの」と定義されており、つまり国外取引は課税資産の譲渡等に該当するためです。この辺りは消費税法の試験を受けるうえで押さえておきたいところでもあります。株式売買が国内取引に該当するかどうかの判定もまた複雑ですが話が脱線しすぎるので割愛します。
長くなりましたが、株式の売却は売却額の5%が、投資信託の解約の場合は売却益の全額が非課税売上高に算入されると押さえておいてください。
参考:
e-Gov法令検索 消費税法 第二条の九、第六条
https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108
国税庁タックスアンサー 中期国債ファンドの課税関係(課税売上割合)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/17/10.htm